じりじりと焼け付くような太陽光を避けて公園内の木陰に座り込んだギルベルトと菊の二人は手にしていた袋を開けた。
袋の中にあったものをパキリと折って先にギルベルトが「んっ」と言いながら菊に茶色いものを手渡す。
菊は菊で「ありがとうございます」とお礼を述べてから同じように折ったばかりの白いものをギルベルトに手渡した。
「んめー!」
「冷たくて美味しいです」
破顔するギルベルトとふわりと笑みを零す菊。
二人共今日は授業が半日で終わる日であり、同時に今年初めての猛暑日でもあった。
帰路についていた二人だがあまりの暑さに耐えかね、下校途中にあるコンビニへと一度は避難した。
けれど同じように考える輩はけっこう居るものでお店にとって邪魔になってしまいますから、と空気を読んだ菊が言えばんじゃアイスでも買っていこうぜ、とギルベルトは答えた。
学生が通る道すがらにある大きめの店舗のおかげか、アイスが所狭しと並べられているケースは色鮮やかでどれを選ぶか迷うほどだった。
仲良くどのアイスを買うか選んでいる最中にふと菊がアイスを一つ手にとった。
「お、それにすんのか?」
「えぇ、でもこっちのも捨てがたいんですよね」
菊が手にとっていたのはグリコから出ているパピコのホワイトサワー味のものだ。
しかしその隣に置いてあったチョココーヒー味にも惹かれているらしい。
「なぁ、俺がこっち買ったら半分こしねぇ? 俺もそっち食ってみてぇ」
「いいんですか?」
「おう! それに半分こすれば別々の味も楽しめるんだろ? だったらそっちの方がお得じゃねーか」
にかっと爽やかに笑いながらギルベルトはパピコのチョココーヒー味を手にし、レジへと向かう。
ギルベルトの笑みにうっかり見とれてしまった菊も慌ててホワイトサワー味のパピコを手にし、彼の後を追った。
そして現在。
コンビニからほど近い場所にある公園へと場所を移し、木陰で涼みながら二人仲良く半分こしたパピコを食べている。
「しっかし相変わらず菊は涼しそうな面してるよなー」
「暑いものは暑いですよ、さすがに。ただギルベルト君に比べれば少しだけ耐性があるだけです」
「もう俺様溶けそうだぜ……」
「ぐったりしてますもんね。これ食べ終えたら早く帰りましょうか」
「だなー。買い食いもいいけどやっぱり涼しいとこに居てぇわ」
「節電するためにも扇風機ですからね?」
「なんでだよ。クーラーもつけようぜー」
「設定温度弄らないならつけて差し上げます」
「Danke!」
ギルベルトが破顔するたびに菊の心臓が跳ね上がる。
つい最近その意味を悟った菊は顔が赤いのは暑さのせいにして、視線を空に固定したまま残りのパピコを食べ始めた。
先にホワイトサワー味を食べてしまったせいか、チョココーヒー味の方は妙に甘ったるくて菊は余計に喉の渇きを覚えたけれど。
そんな菊だからこそ気がつくことはなかった。
菊同様にギルベルトもまたほんのりと頬を赤らめ、照れるようにそっぽを向いていたことに――。
――― END ―――
【 初出:2012/07/14−Pixiv『 習慣になる前の 』より 】