●ぽちくんを抱き上げ、おでこをこつんとくっつけながら撫で続けるプロイセンを見てしまった日本はついぷっと吹いてしまう。無邪気な表情から一転、唇を尖らせ拗ねるプロイセンに日本の笑みは深まる。謝罪の意味も込めてプロイセンの頬に口付ければ満面の笑みと共に指先で自分の唇を指してねだられた。
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●入れる側と受け入れる側。どちらがより体力を消耗し体へと負荷がかかるのかは明白だ。普段から淡白な日本はときおりなにかスイッチが入ったようにプロイセンに続きをねだる。もっと、もっと貴男が欲しい――と。そのたびにプロイセンは葛藤し、理性を総動員させながら日本との攻防を繰り広げてゆく。
●今宵の軍配は日本へと上がった。プロイセンは無理だったら直ぐに言いやがれ、と言いながらも節くれた白い大きな手で熱を帯びたままの日本の体を弄ってゆく。緩やかに、けれど確実に日本を責め立ててゆくプロイセンの吐く息が次第に荒くなってゆく。紅い目をぎらつかせ貪るように再び愛し始めて――。
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●東の空が白々しくなり始めた頃、たまはぱちりと目を覚ました。いつも散歩に出かけるご主人を見送るために身についた習慣だ。朝御飯をねだるという目的もあるが。隣で寝ている白い猫を起こさぬようにもそりと起きてめいいっぱい体を伸ばす。そしてはたと気が付いた。今日は番の人が居るということに。
●プロイセン君と呼ばれる彼と同じ色を持つ猫と一緒に寝ているのだから間違いない。ならば今日は朝ごはんは彼の方にねだらなくては、とたまは顔を洗いながらぼんやりと思う。起きるのか、と大きな欠伸をしながら隣から白い猫に話しかけられ悩むところです、と返事をすればなら寝てようぜ、と返された。
●白い猫はややげっそりしながらどうせあと2時間は起きてこねーよなんてぶっきらぼうに言う。昨夜の情事は久しぶりとあって激しかったようだ。たま自身、白い猫のぬくもりと気遣いながらの毛繕いが気持よくて早々にぐっすりと寝付いてしまったのだ。たまにとって白い猫との逢瀬も久しぶりだったから。
●久しぶりに逢ったのは俺たちもだろ? とたまの鼻に白い猫の鼻がくっつきこつんとおでこどうしをぶつけあう。そうでしたね、なんてそっけなく言いながらたまの胸は震えごろごろと音をたてて白い猫に嬉しさをアピールし始める。同時に白い猫の方から尻尾を腕に絡めてきて顔をぺろりと舐められて――。
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●世間一般で言う若者らに囲まれた日本はこの状態をどう打破するか悩んでいた。カツアゲなんて久しぶりですね――なんて思いながら。愛すべき国民ではあるがこんな状態では致し方ないですね、と己に言い聞かせ殴りかかってきた男の腕を取ろうをした瞬間、嗅ぎ慣れた匂いの人物に抱き締められ庇われた。
●互いに仕事を済ませてから待ち合わせをしていた。だからこいま、プロイセンはきっちりとスーツを着こなしその上でロングコートを羽織りサングラスをかけていた。抱き締められたまま彼を見上げればそのタイミングでプロイセンがサングラスを外し、殺気に近い怒気を孕ませながら若者らをにらみ始める。
●十人近い人数の若者たちへ視線だけをぐるりと向け「去れ――」と低い声で告げる。若者たちはたじろぎ、只者でない気配を感じ取ったのか蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。注意深く辺りを見回し安全だと確認し終えたプロイセンは日本の耳元でわざと囁く。今夜は覚えてやがれ――と、低く唸るように。
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【 初出:2012/09/12−Pixiv『 140字SSりくえすと編―04 』より 】
【 文章リクエスト受付ったー(http://shindanmaker.com/49500)さんの診断結果参照 】