140字SSりくえすと編―02



●ギルベルトは寝付けないまま携帯の時刻を確かめる。5分と進んでいない時刻に顔を顰めながら意を決して携帯でメールを打ち始める。書いては消して、を幾度と無く繰り返しギルベルトはただシンプルに逢いたい、とだけ送った。すぐに届いた返事を見てギルベルトは身支度もそこそこに夜の街へ駈け出す。

●いつもの待ち合わせ場所に辿り着きまだ来ていない恋人に思いを馳せながら呼吸を整える。ブルームーンを過ぎたばかりの月は少しだけ欠けていた。夜目が利くギルベルトは走ってくる菊の姿を捉えた瞬間走りだした。互いの名を呼び、抱き合って額ををくっつけたまま同時に彼らは言う。逢いたかった、と。

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●なにが日本の逆鱗に触れたのか分からない。しかし、確かにいま日本は静かな怒りに身を任せながらギルベルトのズボンのベルトを外しライスフェアシュルスの引き手を口に咥え見せ付けるように降ろしてゆく。普段あまり見ない勝気な表情と色気を纏った表情にプロイセンは身動き取れずなすがままだった。

●ごくりとプロイセンが喉を鳴らしたのに気が付いたのか日本は着ていた和服の帯をしゅるりと外し、そのまま素肌をさらけだす。うっすらを赤みを帯び始めた日本の体には昨晩付けたばかりの赤い花が咲き乱れていた。潤んだ目で見つめながら猛りきったプロイセンのものを掌で弄び、艶めいた唇で口付けた。

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●長く生きているからこそなのか、それとも本当にただの気まぐれなのかは分からない。けれど不意に日本はプロイセンの前で気を緩ませそっと体を擦り寄せて撫でろと催促する。素直に言葉で言えないなら行動で示せ、とプロイセンの言った通りに。にやけながらも嬉しくて仕方が無いとばかりに撫で始めて。

●気持ち良さそうに無防備なまま目を閉じる日本を見てプロイセンの悪戯心に火がついた。頭を撫で続けていた手を今度は頬の輪郭をなぞるように曲線を撫で上げ首筋をマッサージする。目が閉じられたままなのを確認したプロイセンはそのまま日本の喉仏に舌をれろりと這わす。触れ方も愛撫へと切り替えて。

●ぴくりと体を震わせ日本はプロイセンを見つめ返す。伏せた目は潤み頬を赤く染め、薄い唇からは微かな吐息が漏れ始める。ゆるりゆるりとプロイセンは優しい刺激で日本の官能を擽り火を灯す。プロイセン特有の匂いを嗅ぎ日本は更に上り詰めてゆく。煽られ燻られ日本の身に宿る熱の花は見事に咲き誇る。

●プロイセンの為だけに咲く花は見事に開花し彼自身を誘惑し始める。首に腕を絡ませ自ら口付けて来る花に気を良くしたプロイセンは掌と指先を使って日本の素肌を堪能する。熱を帯び、触り心地の良さにほくそ笑みながらもっと気持ち良くしたいと、愛したいと願うままに花と戯れ、蜜を吸い、愛でてゆく。

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●プロイセンと共に激しい絶頂を迎えた日本は一度意識を手放す。そして目覚めるといつも体は清潔にされ浴衣を着ていることに気が付き顔を赤らめてしまう。ただ今宵の目覚めは至極すっきりしていて日本はなるほど、と心のなかで呟いた。プロイセンが日本の頭を撫でながら掠れた声で囁くように歌うから。

●わりぃ、起こしたか? と日本に問う姿は酷く穏やかで満ち足りた表情を湛えていた。情事が終わるまでのあの飢えきったた獣じみた表情も今の穏やかな笑みの表情も、どちらも日本の心を揺さぶり幾度と無く惚れ直すはめになる。彼の太腿に頭を乗せ、歌をねだれば掠れ艶を帯びた声が日本を満たしてゆく。

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【 初出:2012/09/03−Pixiv『 140字SSりくえすと編―02 』より 】
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