●陰る月を背に、男は窓辺に寄りかかり煙管を咥えた。手慣れた様子で煙を吐きながら男が目を閉じれた開かれた窓から冷たさを含んだ風を受け目を閉ざす。動けず寝床に包まる少年を少し出たばかりの青年はその風景に見とれ胸をつまらせる。一夜の遊びなのだと己に言い聞かせるようにそっと涙をこぼして。
●雲が流れ陰った月の明かりが男を照らしだす。男の素肌は先程まで抱いていた青年よりも白く月明かりを浴びて淡く輝く。寝てしまった青年を気兼ねなく見つめながら切なそうな笑みを湛える様子は絵画のようで、その男の胸の内に巣食う感情を如実に知らしめる。紅い目が愛おしそうに柔らかに細められて。
●部屋に広がる三味線の音に耳を傾けながら男は不意に思った。ぴんと張り詰められた糸が演奏している青年のようだと。もし、張り詰めていた糸が緩んだらどうなるのだろうか、と淡い期待が一瞬頭を過ぎり男は瞬き一つでやり過ごす。無垢な心を持ちながら妖艶さを身に纏い淡く危うく笑む青年を見ながら。
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●モノクロの世界にただ一人、彼は佇んでいた。幅の広い黒い布で目が覆わえているせいでどんな眼差しをしているか伺うことは出来ない。けれど、彼は重量感溢れる大剣を片手でたやすく扱う。口元に浮かぶ笑みは歓喜のソレでただ、ただ彼は一心不乱に剣を振り続ける。地上に降りた戦神が舞い踊るように。
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おすすめぷにちより『ギルベルト(ノーパン)×菊(レコード)』
●シャワーを浴びガシガシと頭を軽く吹いたままバスタオルを腰に巻き、自室に戻った。親父と慕う相手から貰ったばかりの年代物のレコードのなかから無造作に一枚取り出し軽い口付けを一つ。。するとぼわん! と音を立てて男の腕の中に黒髪の青年が現れた。男がよろけた拍子にバスタオルがずり落ちて。
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●指についてしまった白くどろりとした液体をプロイセンは舐めとった。日本と交わったままの視線はそのままにわざと見せ付けるように嫌らしく。どうすれば日本が顔を赤らめるのかプロイセンは熟知している。たとえその液体が卑猥なものでないにせよ否が応にも連想させることは出来るよう深く微笑んで。
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おすすめぷにちより『ギルベルト(狼)×菊(貧乏神)』
●月明かりで煌めく白銀の毛並みも紅く光る眼も宝石のように美しいですね――。外見が仲間と違うせいで迫害され続けた狼は小さくて今にも死にそうな貧乏神と出会い嬉しくなる言葉を貰います。狼は照れながらも言い返します。夜露に濡れた黒髪も月明かりを映し煌めく黒い眼も俺様の好みだし綺麗だ、と。
●貧乏神と一緒に暮らすようになった狼ですが獲物にありつけないという事はありません。狼の腕は鈍るどころか冴え渡ります。それを不思議に思い貧乏神は言いました。私は居るだけで相手を不幸にしてしまうのに、と。対する狼は言い返します。一緒に居てくれることがなによりも嬉しいし幸せなんだ、と。
●狼は人とは違い言葉を隠しません。だからでしょうか。それまでどこか淋しげな笑みを讃え狼を見ていた貧乏神が急に泣きだしたのです。居るだけで不幸にしか出来なかった私を貴方は幸せだと言ってくれた。それが嬉しくてたまらないのですとか細い声で。綺麗な眼から溢れた涙を狼はぺろりと舐めました。
●余計に泣いてしまった貧乏神に抱き締められた狼は人の姿であれば抱きしめてあげられるのに、と願いました。貧乏神自身も今まで感じたことのない感情で心が満たされてゆきます。お互いに相手を愛おしい――そう思ったからでしょうか。それから暫くして森で二人の人間が住み始め、幸せに暮らしたのは。
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【 初出:2012/06/26−Pixiv『 140字SSまとめログ―02 』より 】