口付け22箇所―後半



→『口付け22箇所/腕:恋慕』
●戸棚の上にあるものを懸命に取ろうと背伸びをしている日本を見たプロイセンはくすりと笑い真後ろに立つ。これでいいか、と伸ばした先にあった食材を日本に渡せば驚いた表情のあとはにかむ。愛おしくて心が弾んだプロイセンはそのまま着物から出ていた腕を手にとって本人に見せるけるように口付けた。

→『口付け22箇所/手首:欲望』
●触れたい――と発作的に思ってしまったプロイセンは日本を後ろから抱きしめた。ぎゅうっと痛くないぎりぎりの力加減で。けれどぴったりと互いの体に隙間がないように。言葉が発せられるよりも先にプロイセンは日本の手首に口付けを落とした。一つ二つ三つと。最後にうっすらと咲く紅い花を散らして。

→『口付け22箇所/手の甲:敬愛』
●憧れは勿論ありますよ? なんて頬をうっすらを染めながら恥ずかしそうに言葉を紡ぐ姿を見てしまえば躊躇する理由はない。名を呼び、服は許せよと一言付け加えてからプロイセンは日本の前で膝を折り恋人が望む行為を久しぶりに施した。誓うのは忠誠だけじゃないからなと念を押して手の甲へ口付けて。

→『口付け22箇所/掌:懇願』
●きめ細やかな日本の手から唇を離し顔を見上げれば耳も、首筋もそれこそ全身すら真っ赤な恋人が居た。恥ずかしそうに伏せられた目元は艶を帯び、着物の裾を掴んで口元を隠す仕草はプロイセンの劣情を煽った。触れることの喜びと燻ぶり始めた熱い熱の意味を悟らせたくてプロイセンは掌へと口付け笑む。

→『口付け22箇所/指先:賞賛』
●縁側に座り日本の膝枕で寝ていたプロイセンはゆるゆると意識を浮上させ目覚めた。プロイセンの髪をゆっくりと梳きながらふふりと微笑むのは庭先で遊んでいる愛犬と小鳥のじゃれあいを眺めているせいだろう。日本の顔が良く見えるように向きを変えプロイセンは撫でていた指を捕まえ、唇に触れさせた。

→『口付け22箇所/腹:回帰』
●日常生活を着物で過ごす日本もさすがに仕事中はスーツを着用しなければならず、ときおり渋い顔を浮かべるのをプロイセンは気がついていた。自宅のソファーに座り寛ぐプロイセンに近づきおもむろに抱きついてきた日本のシャツをめくり腹の中心部分へ口付けを送る。いつも此処へ帰るぞと意味を込めて。

→『口付け22箇所/腰:束縛』
●癒しを求めます! なんて面と向かって言われたプロイセンはぎゅっと日本が気が済むまで抱きしめ続けた。なにに憤っているのか、プロイセンには憶測でしか分からない。けれど自分の存在が少しでも役立つなら嬉しいのだ。同時に悪戯心に火がつき中途半端に捲れたシャツに手を滑らせ腰に花を散らした。

→『口付け22箇所/腿:支配』
●つれない恋人を押し倒し、抵抗されるよりも先に服の中へと手を滑り込ませる。触り心地の良い素肌を指先で撫でてゆきながら的確に相手が感じる場所を責め立てて日本の体に熱く篭る熱を呼び覚ます。艶めいた唇から零れた吐息が甘くなるころ、プロイセンは肌蹴させた内腿にきつく吸い付くニヤリと笑う。

→『口付け22箇所/脛:服従』
●中途半端に肌蹴させられた日本を見やれば既に目がとろりと惚け、熱の花が咲き綻ぶ前兆が見えた。堪えきれなくなった己の声を懸命に殺そうと日本は手の甲で口を塞ぐ。喘ぐ声すら俺様のものだと言わんばかりにプロイセンは日本の脛に口付け舌を這わす。体も、心も明け渡せと言わんばかりにねっとりと。

→『口付け22箇所/足の甲:隷属』
●赤みを増した体と顔、抑えきれずにこぼれてゆく甘ったるい日本の声にプロイセンは気を良くする。熱を帯びたとろけた目がプロイセンにねだりはじめる。背を丸めてちらりと盗み見るように。しかしプロイセンはそんな日本の願望を無視して足の甲へ唇を落とす。猛ったものを眺めながら見せ付けるように。

→『口付け22箇所/爪先:崇拝』
●プロイセンは日本の脇と膝裏に腕を入れて一気に持ち上げそのまま寝室へと運びこむ。布団の上へと丁寧に下ろしたあと日本の名を紡ぎ形の良い親指の足の爪へと口付けを贈った。困ったような、それでいて妖艶さを含む笑みを湛えた日本の耳元で言葉を囁く。酷く甘ったるい愛の言葉を溢れだす感情のまま。

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【 初出:2012/06/30−Pixiv『 口付け22箇所―後半 』より 】